発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012264911
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大動脈基部・弓部同時手術を緊急手術で行った10例(男8例、女2例、平均44歳)と、待機手術の36例(男22例、女14例、平均52歳)の早期成績を比較した。緊急群は全例Stanford A型急性大動脈解離で、待機群は慢性大動脈解離23例、真性瘤13例であった。大動脈遮断時間、選択的脳灌流時間、体外循環時間、手術時間は両群間で有意差はなかった。病院死亡は緊急群に認めず、待機群は3例で、原因はそれぞれ縦隔炎、多臓器不全、人工血管感染であった。術後合併症は呼吸不全が緊急群4例、待機群14例で、新たに血液浄化を必要とした急性腎不全は待機群のみ6例に認めた。また低心拍出量症候群のためグラフト内バルーンパンピングを両群各1例、大動脈内バルーンパンピングを緊急群1例に施行したが、いずれも離脱可能で生存・退院した。他に周術期心筋梗塞を待機群1例に認め、術前に右内頸動脈狭窄に対しステント留置を行った待機群1例で左片麻痺(脳梗塞)が出現した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012