急性大動脈解離の外科治療
Stanford A型急性大動脈解離における術式選択 上行置換と弓部置換の比較
清水 弘治
1
,
伊藤 恵
,
金築 一摩
,
今井 健介
,
末廣 章一
,
織田 禎二
1島根大学 心臓血管外科
キーワード:
生存率
,
体外循環
,
大動脈瘤
,
X線CT
,
動脈瘤-解離性
,
治療成績
,
大動脈置換術
,
Kaplan-Meier法
,
手術時間
Keyword:
Aortic Aneurysm
,
Aneurysm, Dissecting
,
Extracorporeal Circulation
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Survival Rate
,
Treatment Outcome
,
Kaplan-Meier Estimate
,
Operative Time
pp.252-256
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016223993
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著者らが手術を行ったStanford A型急性大動脈解離90例を対象に、これらを術式により上行置換群74例と弓部置換群16例に分け、治療成績を比較検討した。その結果、1)手術時間、体外循環時間、心筋虚血時間、循環停止時間、SCP時間は弓部置換群で有意に長く、再開胸率も弓部置換群で高かった。2)遠隔期の累積生存率を比較すると、5年生存率は上行置換群68±6%、弓部置換群59±14%で、有意差はみられなかった。一方、術後5年の大動脈合併症回避率は上行置換群88±6%、弓部置換群68±16%でこちらも有意差はみられなかった。3)遠隔期大動脈合併症は上行置換群では9例に認められた。また、死亡例の2例以外に弓部大動脈拡大での再手術が3例、腹部大動脈拡大による手術が1例、仮性瘤形成による再手術が3例あった。殊に弓部置換群では3例で認め、死亡例1例以外の2例で下行大動脈拡大で手術が行われていた。尚、術後の末梢側拡大は両群間で有意差は認められなかった。
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