発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013186589
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59歳男性。突然、前胸部痛および呼吸困難が出現し、著者らの施設へ救急搬送となった。心電図にて広範囲急性前壁心筋梗塞を認め入院となり、あわせて緊急冠状動脈造影検査にて左前下行枝seg.6の閉塞が確認され、同部に経皮的冠状動脈形成術が行われた。術後、血流は回復したものの、血圧は改善せず、左室造影にて心室中隔穿孔と左室破裂が認められた。そこで、血性心嚢水をドレナージしたところ、一時的に血圧が回復したが、再度血圧低下を来し、心停止となった。そのため経皮的心肺補助装置で蘇生を行なった後、大動脈内バルーンパンピングを挿入し、手術を開始、胸骨正中切開でアプローチすると、blowout型左室自由壁破裂と心室中隔穿孔が観察された。以後、破裂孔から心尖部に向かって左室の切開を行ない、中隔の穿孔部を含めて梗塞領域をexclusionし、次いで左室切開線を帯状フェルトで補強しながら、左室自由壁破裂部も同時に閉鎖した。その結果、術後1ヵ月の心エコーでは遺残短絡はなく、左室リモデリング予防でβ遮断薬を導入、患者は術後65日目に軽快退院となった。
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