発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250151
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は91歳4ヵ月の女性で、胸痛を自覚して近医を受診、心電図変化や血液検査所見から急性心筋梗塞の診断にて同日紹介搬送となり、緊急冠動脈造影にて左前下行枝の完全閉塞を認め、同部位に経皮的冠動脈バルーン拡張術を施行した。その直後からショック状態を呈し、左室造影では左室心尖部から右室へのシャント血流を認め心室中隔欠損と診断され、大動脈バルーンパンピング留置後に心臓血管外科紹介となった。高齢であったが家族が手術治療を強く希望したため緊急手術施行となった。術中所見では心尖部中隔壁の新鮮な心筋梗塞巣の中心に穿孔部を認め、穿孔部周囲は極めて脆弱で穿孔部を頭側に広げるように組織を切除して1.5×2.5cm大の穴とした。穿孔部辺縁にモノフィラメント糸フェルト付きマットレス、反対側は右室側からHemashieldパッチを縫合して一次閉鎖し、続いて心尖部梗塞部位を回り込むようにウマ心膜パッチを逢着して両パッチ間にフィブリノゲン加第XIII因子とインテグラン綿状を充填して左室を縫合閉鎖した。術後経過は順調で、経胸壁エコーでは遺残短絡は認めず、術後24日目に独歩退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010