発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007100268
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61歳男。突然の右下肢疼痛、冷感を主訴に受診した。入院時現症では右膝以下脈拍は触知せず、右下腿の冷感を認めた。血液検査所見は血算は問題なく、生化学ではCRP2.5mg/dlと軽度上昇を認め、凝固系はPT11.9秒APTT31.4秒と異常を認めなかった。胸部X線所見の心胸郭比(CTR)は51%で異常を認めなかった。下肢血管造影所見は深大腿動脈、浅大腿動脈の途絶を認め血栓塞栓症の診断のもと全身麻酔下に膝窩動脈の血栓除去を行った。術中、塞栓源検索のため経食道エコーを施行し、大動脈弁無冠尖上に約1.5cm大の腫瘍影を認めた。大動脈弁の血栓もしくは腫瘍性病変を疑い、翌日手術とし、胸骨正中切開を施行し、人工心肺を確立した後、上行大動脈を横切開して無冠状に血栓を認めた。血栓は容易に摘除可能で動脈硬化背プラークを認めたが弁の構造は非常によく保たれており、大動脈弁置換は行わず術後経過もよく、Warfarin potassiumによる抗凝固療法を厳重に行い経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2006