発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011192877
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
46歳男性。患者は右下肢痛、右側腹痛に続き、左側腹痛が出現したため、著者らの施設へ受診となった。胸腹部造影CTでは下行大動脈内腔に不整形の大きな腫瘤が認められ、右腎梗塞と脾梗塞もみられた。また、経食道エコーでは下行大動脈内に高度浮遊性の腫瘤も確認された。以上より、本症例は多発性塞栓を伴う浮遊性下行大動脈内腫瘤と診断され、緊急手術が行われた。手術は腫瘤を大動脈壁ごと切除し、大動脈欠損部位を二重の自己心膜で閉鎖した。その結果、術後は病理培養では非定型的な化膿性炎症性に器質化した血栓の診断であった。経過は良好で、手術から7日目には独歩退院となった。尚、その後、右膝下動脈閉塞に対しては大伏在静脈による右浅大腿動脈-右後脛骨動脈バイパス術が施行され、右下肢間欠跛行は改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011