発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009150021
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
76歳男。突然の胸痛が出現し近医を受診した。心電図上、急性心筋梗塞と判断され、冠状動脈造影検査を施行された。右冠状動脈のカテーテルを抜去するとST上昇と胸痛が出現した。また、右冠状動脈入口部付近に造影剤の貯留を認め、急性大動脈解離と診断された。右冠状動脈にパーフュージョンカテーテルを挿入したまま搬送された。経胸壁心臓超音波所見では、大動脈右冠尖に一致して、高輝度な腫瘤状の陰影を認めた。大動脈弁上血栓あるいは腫瘍に伴う右冠状動脈閉塞による急性心筋梗塞と判断し、緊急手術を施行した。循環動態、呼吸状態ともに安定していた。術後よりwarfarinの内服を行い、現在も血栓の再発なく経過している。摘出した腫瘤は、好中球などの炎症細胞浸潤を含む変性した血栓であった。細菌・真菌塊や悪性所見は認められなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009