発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013219807
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73歳女性。呼吸困難、下腿浮腫、咳嗽を主訴に前医を受診、うっ血性心不全と心房細動に対する治療を受けるも、翌日に血液酸素飽和度が80%台に低下したため著者らの施設へ救急搬送となった。所見では胸部MRIで左房粘膜腫が認められ、経食道心エコーでは腫瘍から左房内腔へ持続的な血流ジェットが確認された。また、冠状動脈造影では腫瘍濃染像および冠状動脈左房瘻が認められ、左冠状動脈前下行枝はスティール現象を呈し、Holter心電図では一過性の頻脈性心房細動が認められた。以上より、本症例は冠状動脈左房瘻を伴う左房粘膜腫と診断され、人工心肺を使用した心停止下で腫瘍摘除術およびmaze手術が行われた。その結果、病理組織学的には左房粘液腫で、術後の造影検査では腫瘍濃染像や冠状動脈スティールは消失が確認された。目下、術後3年で心不全なく良好に経過している。
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