発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008133512
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生後13日女児。患者は在胎35週3日、緊急帝王切開により体重1378gの極低出生体重児で他院で出生した。心エコーでI型完全大血管転位症と診断され、人工呼吸管理およびalprostadil alfadex(PGE1)投与を開始されたが、翌日になって頻呼吸が出現し、著者らの施設へ転院となった。胸腹部X線では著明な心拡大と両肺野の鬱血が認められ、心エコーおよび心カテーテル所見等より高肺血流状態による心不全と考え、PGE1を中止し経過観察とした。だが、日齢10から卵円孔の狭小化とチアノーゼが進行し、適切なサイズのカテーテルが入手できず、バルーンカテーテルによる心房中隔裂開術を断念し、日齢13に根治術に踏み切った。極低体重児ではあったが、出生週数が35週と比較的成熟しており、他臓器の異常を認めず、手足をよく動かし元気であったこと等から、新生児動脈スイッチ術が選択された。その結果、経過は良好で、生後12ヵ月の現在、体重は6.4kgで、正常に発達している。尚、検索した限り、本症例は極低体重児の動脈スイッチ術成功例としてReddy等の1340gに次ぐものであり、我が国では最小体重例と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008