動脈スイッチ手術の工夫と遠隔成績
冠状動脈移植法 完全大血管転位における動脈スイッチ手術後冠状動脈起始別の成績
西野 貴子
1
,
原田 順和
1長野県立こども病院 心臓血管外科
キーワード:
医学用イラストレーション
,
死亡率
,
心エコー図
,
心臓カテーテル法
,
体外循環
,
大血管転位症
,
大血管スイッチ手術
,
肺動脈絞扼術
,
バルーン心房裂開術
Keyword:
Arterial Switch Operation
,
Echocardiography
,
Extracorporeal Circulation
,
Cardiac Catheterization
,
Medical Illustration
,
Mortality
,
Transposition of Great Vessels
pp.282-286
発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008178593
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d型完全大血管転位(d-TGA)に対し動脈スイッチ手術を行った44例を対象に、冠状動脈別にShaher 1型33例をA群、それ以外の11例をB群に分け、その治療成績を比較検討した。手術時日齢はA群19.4±19.1日、B群27.7±0.8日、手術時体重はA群2.9±0.5kg、B群3.1±0.8kgであった。その結果、術後平均観察期間4.0年で、早期死亡はA群の3例で認め、原因は術中の出血に付随する急性心筋梗塞(AMI)が2例、原因不明の低左心機能による体外循環離脱不能が1例であった。遠隔死亡はA群の1例で認め、術後1年でのAMIであった。冠状動脈イベント発症例は、A群で7例、B群で6例認めた。冠状動脈イベント発症例の傾向としては、入口部での病変が多く、入口部病変の原因として冠状動脈の移植法、縫合部位の線維化、心筋保護液注入時の損傷などがあげられた。冠状動脈イベント発症の危険因子としては、手術時年齢、手術時体重、Shaher I型以外であることが明らかとなった。
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