発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012318847
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症例は61歳男性で、胆石症、高血圧症、IgA腎症、進行胃癌術後の既往があった。IgA腎症で3回の腎移植を受け、免疫抑制剤服用中であった。腎移植と胃癌手術後、消化器外科にて経過観察中のCTで左肺S8に1.3cmの結節影を認めて当科紹介となった。X線で左中肺野に1cm大の淡い結節影を認め、CTで左S8に1.3×0.8cm大の辺縁明瞭な充実性結節影が認められた。PET-CTでは左下葉の結節に一致して淡い集積を認めるのみであった。結節影は7ヵ月前のCTでは認められず、原発性肺癌もしくは転移性肺腫瘍が疑われ、診断を兼ねて外科的切除を行った。胸腔鏡補助下に部分切除術を行い、術中迅速で悪性所見はなく、炎症性肉芽腫性病変とのコメントのため追加切除は行わなかった。病理所見では、増生線維で被覆された肉芽腫様病変で、病変内に円形の菌体を多数認め、Grocott染色陽性からクリプトコッカス症と確診した。術後経過は良好で移植腎機能も安定し、術後5日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012