発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012264916
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症例は69歳女性で、肺癌検診で胸部異常影を指摘された。胸部X線で右下肺野縦隔側に胸膜外サイン陽性の約3cm大の腫瘤影を、CTでは右後縦隔のTh9~Th10傍脊椎領域に比較的内部均一な32×11mmの紡錘形腫瘤が認められた。MRIではT1・T2強調画像で筋肉よりやや高信号の腫瘍で、典型的な所見ではなかったが、境界明瞭な後縦隔腫瘍であり、神経原性腫瘍を疑い胸腔鏡下手術を施行した。腫瘍はTh9~Th10傍脊椎領域に存在し、壁側胸膜下、暗赤色、弾性軟で周囲への浸潤傾向は認めなかった。肉眼所見で血管腫を疑い、易出血性でもあったため部分切除して迅速病理診断に提出した。診断の結果は髄外造血巣であり、手術は止血しながら一部追加切除して終了とした。追加切除標本の病理所見で、壁の薄い血管から筋性の壁をもつ比較的大きな血管までが不規則に混在する異常な血管が集合しており、血管腫と診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012