発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006004196
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79歳男.高血圧・慢性胃潰瘍・慢性腎不全で加療中であった.タール便と全身倦怠感増強を認め救急搬送され,入院後の精査にて出血性胃潰瘍と診断され,胃角小彎の巨大出血性潰瘍に対して内視鏡的止血術が施行された.入院中の胸部CTにて右下葉S10内側に胸膜に接するextrapleural signを伴う腫瘤陰影を認め,右胸腔内腫瘍の術前診断にて手術となった.術中所見では腫瘍は弾性軟・表面平滑,血管豊富で椎体右前面に存在しており,胸腔鏡補助下に腫瘍切除術を施行した.切除標本の病理組織学的所見では腫瘍は薄い線維性被膜に覆われ周囲との境界は明瞭で,巨核球系・赤芽球系・顆粒球系の細胞集団が確認され,胸腔内髄外造血組織と診断された.術後経過は順調で19日目に軽快退院となった.以上より,胸腔鏡補助下腫瘍切除術は診断・治療として侵襲が小さく,有用な方法の一つであるものと考えられた
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