発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012175459
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67歳女。23年前に右乳癌でHalsted手術を施行し、局所再発に対し放射線治療が行われたが、その後、照射部周囲に放射性皮膚炎が認められた。疼痛・発赤、膿排出が出現してメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出され、胸骨骨髄炎と診断された。前胸部に約5mmの皮膚潰瘍を認め、胸骨体部と瘻孔を形成していた。vancomycin投与で炎症所見は低下したが、排膿が持続し外科的治療となった。胸骨の瘻孔部に半径約4cm大の皮膚切開を加え、エアトームで腐骨を除去し、更に円錐状に健常部まで切除した。開放創として感染のないことを確認し、術後16日目に創閉鎖を行った。左腹部に直径約7cmの同心円状に皮膚切開を加え、左腹直筋を露出して尾側の皮膚切開に沿って切断し、腹直筋後鞘から剥離して皮弁を作製した。前胸部の創部と腹部の創をつなぐ皮下トンネルを形成し、これを通して腹直筋皮弁を挙上し開放創に縫着した。術後経過良好で、20ヵ月経過し感染の再燃はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012