発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012175455
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救命できた鈍的外傷による心破裂8例(男5例、女3例、平均41歳)を報告した。内訳は心タンポナーデ型7例、血胸型1例で、損傷部位は右房5例、右室、左房、左室が各1例であった。心嚢ドレナージを先行した症例ではできるだけ緩徐に解除し、緊急開胸を要した1例は左胸腔より心膜切開を加えて行った。左室破裂例では人工心肺を開始できる状態にした後、心膜に小切開を加えて出血を制御した。右心系損傷6例は自己血回収装置のみで直接縫合による修復ができたが、左心系の2例は体外循環を要した。左室破裂には2-0プロリン糸75mm直針に彎曲をつけてマットレス5針で破裂口を縫合し、帯状フェルトとターニケットを用いて挫滅心筋へのストレスを軽減しながら結紮する手法が有用であった。術後の合併外傷評価で腹水貯留を認めた1例には試験開腹を追加し、腸間膜損傷を修復した。また開放骨折や偏位の強い大腿骨骨折に対しては、観血的整復術を同時に行った。
©Nankodo Co., Ltd., 2012