発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009052474
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80歳女。胸痛、呼吸困難を主訴とした。庭木を剪定中に転倒し、刃渡り15cmの刈り込みバサミが左胸部に突き刺さった。左前胸部に3cmの刺創を認めた。心エコーで大量の心嚢内貯留液を認めた。CTで心嚢内と左胸腔に大量の液体貯留を認め、受傷状況から出血性心タンポナーデおよび左血胸と診断した。緊急手術待機中に脈拍が触知不能になり、呼吸が停止し、瞳孔は7mmまで散大した。手術準備は完了していなかったが、直ちに経皮的心肺補助(PCPS)を行った。呼吸停止からPCPS開始までに要した時間は13分であった。尿バルーンカテーテルで一時的に止血し、心拍動下に創を縫合閉鎖した。左血胸の原因は左内胸動脈の断裂であり、これを結紮した。PCPSからは容易に離脱でき、手術の1時間後に意識は回復した。その後、脳神経学的異常や感染もなく経過し、第24病日に独歩退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008