発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011338810
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74歳男性。2年前に急性大動脈解離(DeBakey分類IIIa早期血栓閉鎖型)を発症し、その際の遠位弓部大動脈瘤径は47mmであったが、今回、CTにて左左骨下動脈分岐後より下行大動脈に至る最大径62mmに拡大した慢性解離性大動脈が認められ、手術が行われた。術中所見は体外循環を確立後、超低体温ならびに循環停止下で選択的脳分離灌流が行われ、左鎖骨下動脈は分岐直後で結紮された。そして、正常な下行大動脈に達する15cm長のelephant trunk(ET)を下行大動脈に内挿した。更に左鎖骨下動脈と左総頸動脈の間で、4分枝付き人工血管と末梢側吻合が行われた。以後、左鎖骨下動脈・左総頸動脈・中枢側吻合、右腕頭動脈の再建が順次に行われ、その結果、術後は経過良好で、ET周囲の瘤内は完全に血栓化され、術後15日目に退院となった。尚、現在も大動脈瘤の拡大は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011