臨床経験
先天性アンチトロンビンIII欠損症を合併した心房中隔欠損症
成瀬 瞳
1
,
坂本 吉正
,
木ノ内 勝士
,
井上 天宏
,
松村 洋高
,
儀武 路雄
,
板東 興
,
橋本 和弘
1東京慈恵会医科大学 心臓外科
キーワード:
Antithrombin III
,
Heparin
,
部分トロンボプラスチン時間
,
プロトロンビン時間
,
Warfarin
,
心房中隔欠損
,
アンチトロンビンIII欠損症
,
国際標準化比
,
周術期管理
,
Bucolome
Keyword:
Antithrombin III
,
Heart Septal Defects, Atrial
,
Heparin
,
Partial Thromboplastin Time
,
Prothrombin Time
,
Warfarin
,
Antithrombin III Deficiency
,
International Normalized Ratio
,
Perioperative Care
,
Bucolome
pp.508-510
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016339091
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症例は41歳女性で、31歳時の不妊治療後に深部静脈血栓症を発症し、精査で先天性アンチトロビン(AT)III欠損症と診断され、抗凝固薬内服中であった。今回、健診で心雑音を指摘され、循環器内科にて心房中隔欠損症(ASD)と診断され当科に手術依頼となった。心エコーで右心系拡大、ASDは二次孔欠損型の最大径26mm、L→Rシャント血流を認め、三尖弁逆流はmoderate、肺体動脈血流比は4であった。造影CTで肺静脈還流は異常なく、肺塞栓像は認めなかった。手術7日前にwarfarin内服を中止し、4日前からheparin、ATIII製剤の点滴を開始し、術当日執刀前にATIII製剤の補充、人工心肺回路内にheparinを追加充填した。体外循環開始前にheparin静注でATIII活性101%、活性凝固時間(ACT)>400秒を認め、体外循環を確立した。ASDは直接閉鎖し、三尖弁形成術を行った。術直後はATIII活性の低下でATIII製剤を投与し、抗凝固薬内服を再開した。術後経過は良好で20日目に退院した。
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