発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011245572
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76歳女性。患者は僧帽弁狭窄症に対する僧帽弁置換術後19年目に労作時呼吸困難、下腿浮腫が出現し、精査入院となった。胸部X線では心胸郭比62%と心拡大がみられ、また肺血管陰影の増強も認められた。人工弁透視所見にて10心拍に1回程度の開放制限が認められたことから、本症例は間欠的な開放障害による僧帽弁位人工弁機能不全と診断され、治療として再僧帽弁置換術および三尖弁輪縫縮術が施行された。その結果、術後14日目に心タンポナーデの合併がみられ、心嚢ドレナージの施行により対処されたが、胸骨骨髄炎を発症した。だが、抗菌薬の投与により改善し、患者は術後51日目に軽快退院となった。尚、摘出した人工弁にはパンヌス形成がみられ、このことから本症例はパンヌス形成に基づく間欠的開放障害による僧帽弁位人工弁機能不全が考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011