発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011160946
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77歳男。69歳時に末期腎不全で透析導入されていた。また、68歳時より連合弁膜症のため通院中で、74歳時に心房細動にてカテーテルアブレーションを施行され洞調律に復帰し、内服加療していた。今回、労作時息切れと透析中の除水困難が出現し紹介となった。心エコーで大動脈弁は三弁で石灰化がみられ、高度大動脈弁狭窄症および中等度大動脈弁逆流を認めた。僧帽弁にも弁尖の石灰化を認め、高度の僧帽弁閉鎖不全症を呈した。高度三尖弁逆流も存在した。心臓カテーテルでは大動脈弁口および僧帽弁口の狭窄、大動脈弁、僧帽弁、また大動脈弁-僧帽弁接合部を含む両弁輪に石灰化を認めた。開胸術を施行し、まず大動脈弁輪部の石灰化をCUSAで除去し、大動脈弁-僧帽弁接合部に連続して石灰化が存在した左冠尖部の弁輪の内膜欠損部は自己心膜で修復した。次に僧帽弁にアプローチし、後尖の温存は不可能と判断して切除した。弁輪石灰化をCUSAで可及的に切除し、僧帽弁後尖のP2~P3にかけての弁輪の内膜が欠損したため自己心膜パッチで再建した。この時点で僧帽弁輪拡大は不要と判断し、僧帽弁にOn-X 23mm、大動脈弁にSJM Regent 19mmを用いて置換術を行い、三尖弁はMC3 28mmでリング形成した。術後弁機能は良好で、33病日に独歩退院した。
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