発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011338804
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2004年10月~2009年6月の間に大動脈弓離断複合(IAA complex)と診断され、Norwood型手術が施行された8症例(男性4例、女性4例、手術時平均日齢65.5±43.3日)を対象に治療戦略について後方視的に検討した。手術時体重は2.2~6.0kg(中央値3.2kg)で、Cerolia-Patton分類によるIAAの型はAが2例、Bが6例であった。基礎疾患としては22q11.2欠損症候群とNoonan症候群が各1例に認められ、胎児診断例は2例、ductal shockにより救急搬送された例が2例みられた。手術はNorwood手術で大動脈弓再建はDamus-Kaye-Stansel吻合を4例、swing back法を3例、その他を1例に施行された。その結果、術後1ヵ月以内の死亡は認められなかったが、1例のみ50日後に栄養注入直後誤嚥と考えられる心肺停止で死亡した例が確認された。一方、周術期合併症としては反回神経麻痺が4例、横隔神経麻痺・乳び胸・high flow shockが各1例にみられた。以上より、Norwood型手術は術後適切な経過観察期間をおいて大動脈弁下狭窄、肺血管床の評価を十分に行った上で、最終的に一心室修復、二心室修復に橋渡しできる有用な術式と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011