発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012314033
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症例はMarfan症候群の42歳女性で、20歳時に大動脈弁輪拡張症のため大動脈基部置換術とCabrol法冠状動脈再建術を受けたが、術後15年に背部痛が出現した。心臓カテーテル検査で人工血管と左右冠状動脈それぞれとの吻合部に、全周性の狭窄を認めた。CTでは弓部大動脈の最大径は45mmであった。また、近位下行大動脈にエントリーを有する偽腔開存型の大動脈解離であり、胸腹部移行部で最大瘤径58mmであった。左腎動脈のみ偽腔より起始し、その他の主要分枝および両側腸骨動脈は真腔より起始していた。両側冠状動脈狭窄と診断し、胸腹部大動脈置換術の適応となったが、今回の手術においては冠状動脈狭窄の解除および、次回手術のためのelephant trunk設置、全弓部置換術を行った。術後19日に軽快退院となったが、退院前のCTで左右冠状動脈の狭窄解除を確認した。現在、外来で胸腹部大動脈置換術の待機中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2012