発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011060404
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開放気管切開孔または永久気管切開孔を有する症例での大動脈基部~弓部の大動脈治療2例を報告し、その問題点とアプローチの工夫について考察した。症例1は41歳男で、慢性Stanford A型大動脈解離を伴う重症大動脈弁閉鎖不全症と診断され、術前画像で心臓の右方偏位と反時計方向回転を確認できたため、逆L字型アプローチによるBentall手術を行った。症例2は76歳女で、急速に拡大する胸部大動脈瘤に対し、検査結果および永久気管切開孔と手術創の位置関係を検討してcram shellアプローチによる上行弓部置換術を行った。いずれも術後縦隔炎などの合併症なく良好に経過した。個々の症例で術前の画像診断から解剖学的位置関係を正確に把握して適切なアプローチ法を考慮すべきであり、特にcram shellアプローチは大動脈基部~弓部大動脈手術では推奨できるアプローチ法である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010