発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011042630
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70歳女。患者は悪性リンパ腫で化学療法施行中に心機能の低下が指摘され、経過観察されていたが、のちに入院となった。心エコーでは三尖弁逆流が観察され、CTでは左鎖骨下と前縦隔にリンパ節の腫大が認められた。また肝臓には淡く造影される多発円形結節が認められ、肝内結節に対する生検により好酸性の小型腫瘍細胞のロゼット形成が認められた。以上より、本症例は経胸壁心エコー、心臓カテーテル所見を含め心臓カルチノイドによる三尖弁狭窄兼閉鎖不全症と診断され、右心不全を来していることから手術適応と判断した。以後、難治性下痢の軽快、全身状態の改善後に生体弁による三尖弁置換術を施行した結果、特に循環動態の変動なく手術が施行でき、周術期にもoctreotideを投与することで、下痢の再燃もなく経過良好であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010