発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011042631
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68歳女。患者は腹部拍動性腫瘤を主訴とした。冠状動脈造影では右冠状動脈から左前下行枝に側副血行路がみられ、CTでは腎動脈以下に最大径71mmの腹部大動脈瘤(AAA)が認められた。左冠状動脈主幹部病変、AAAとも早期の手術の必要があると考えられ、複数の開腹歴(子宮癌、胃癌、大腸癌に対する手術歴)があることからステントグラフト内挿術(EVAR)が適応と判断した。一方、冠状動脈疾患に関しては心拍動下に冠状動脈バイパス術(CABG)で行うことも検討したが、安全性確保のため人工心肺使用心拍動下CABGが選択された。その際、一期的手術時はCABG先行の場合が多いが、未治療のAAA存在下の大腿部からの大動脈内バルーンパンピング挿入は原則禁忌であり、またEVAR時の心負荷は人工血管置換術より比較的少ないため、人工心肺スタンバイ下でEVARを先行して行った。結果、経過は良好で、術当日抜管となり、翌日からは食事を開始し、第15病目に患者は退院となった。
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