発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011042629
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59歳男。患者は1989年に大動脈基部の拡大と大動脈弁閉鎖不全症を認め、大動脈基部置換術を施行した。しかし、2004年に上行大動脈径が拡大したため、再び上行人工血管置換術を行うも、術中、吻合部に破綻を認め、再建が行われた。以後、2007年に乾性咳嗽、夜間の寒気を自覚し近医へ受診となり、心拡大、胸水貯留、発熱を認めたため、著者らに施設へ搬送となった。血液培養ではStapylococcus hominisが陽性であり、心エコーでは大動脈弁下の左室側に高輝度の可動性のある疣贅が認められた。また、CTでは人工血管中枢側の右前方に濃染された腔が確認され、感染による人工弁感染性心内膜炎および仮性動脈瘤と診断、抗生物質投与後6日目に再Bentall手術が施行された。その結果、弁の右冠尖弁輪および左冠尖弁輪との吻合部は完全に離開しており、仮性動脈瘤を形成していた。そこで、感染再発予防のためrifampicin浸漬人工血管を用いて人工血管・人工弁置換術を施行したところ、術後2年の現在、感染の再燃徴候は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010