発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013350517
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日齢1男児。通常分娩で出生した。生後まもなくチアノーゼが出現し、SpO2 40%台に低下した。心エコー検査で総肺静脈還流異常(TAPVC)が疑われたため、気管内挿管の後、生後17時間で搬送された。MDCT所見では、左肺からの静脈血はすべて共通肺静脈を介して右肺静脈に注ぎ、右肺静脈から伸びた肺内静脈が左に向かって、上行大動脈右肺動脈と主肺動脈に挾まれた狭いスペースを越えて無名静脈に達していた。この上行大動脈を越える部分で圧迫を受けて高度の狭窄を伴った。高度の肺うっ血をきたしており、ただちに緊急手術を行った。術後は腹膜透析を5日間要した。上室性頻拍が出現したが、ジギタリス製剤の投与でコントロールできた。術後24日日に撮影したMDCTでは吻合などに問題はなかった。術後27日目に退院となった。現在術後20ヵ月が経過しているが、肺静脈閉塞の徴候もなく、発育・発達ともに良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2013