発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250146
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症例は65歳男性で、9年前に食道癌に対して食道切除・後縦隔胃管再建術+リンパ節郭清術を施行(扁平上皮癌、pT1bN0M0、病理病期Ia期)され、経過観察中の4年前に胸部CTにて上縦隔気管左側に8×5mm大の腫瘤陰影を指摘された。その後、腫瘤は徐々に増大傾向を認めたため紹介入院となり、画像所見から食道癌リンパ節再発・縦隔嚢腫などを疑い、診断を含め手術施行となった。術中所見では左腕頭静脈を剥離すると気管・腕頭動脈・左頸動脈の間に気管に強固に癒着した40mm大の腫瘤を認め、周囲より剥離・摘出した。摘出標本の病理組織学的所見では島状に存在する大型異型細胞からなる充実性胞巣で、一部では角化傾向を伴う中分化扁平上皮癌を認めた。以上より、胸腺嚢腫に発生した胸腺癌と診断、術後縦隔に60Gyの照射を行い5年経過の現在、無再発で外来通院中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010