発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250142
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症例は70歳男性で、突然に強い胸痛が出現し救急搬送となり、急性心筋梗塞(AMI)を疑い、緊急冠動脈造影により右冠動脈(RCA)#1 100%、左冠状動脈#6 90%・#11 90%、第1対角枝(D1)90%の狭窄を認め、責任病変のRCA#1にシロリムス溶出性ステント(DES)を留置した。残存する左前下行枝(LAD)の狭窄病変には心拍動下バイパス術(OPCAB)を施行、手術では左内胸動脈(LITA)をLADに、大伏在静脈グラフトをD1へバイパスした。ICUに帰室60分後、突然心拍数が30bpmまで低下、心電図上STの再上昇と突然の血圧低下を認め下壁梗塞が疑われた。緊急冠動脈造影にて#1内完全狭窄(亜急性ステント内血栓症;SAT)を認め、血栓吸引と経皮的バルーン形成術を施行、LITAは良好に開存しており、再灌流までの所要時間は約40分であり、ICU帰室後5時間で人工呼吸器を離脱し術後26日目に自宅退院となった。以上より、DES留置手術ではSATや出血傾向に十分注意を払うべきと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010