発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250144
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症例は身長142cm・体重67kgの68歳女性で、咳嗽を主訴に受診した近医にて胸部X線像で縦隔拡大を指摘され、精査加療目的で紹介入院となった。胸部CTにて主肺動脈に最大短径53mmの肺動脈瘤を認め、併存疾患を認めない特発性肺動脈瘤と診断され手術施行となった。術中所見では人工心肺確立後に、主肺動脈から左肺動脈にかけて瘤壁を6×4cm切除し、フェルト片2枚を肺動脈壁断端に当て形成した。切除標本の病理組織学的所見では肺動脈壁は弾性線維の断裂を認め、cystic medial degenerationの所見であり、血管炎を示す所見は認めなかった。術後第7病日の胸部CTでは肺動脈形成部に問題なく、咳嗽は消失して術後経過は良好で術後第11病日に自宅退院となった。以上より、低身長患者では瘤径が6cmに満たなくとも外科治療を柔軟に考える必要があると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010