発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010071374
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72歳女。患者は意識レベルの低下を主訴とし、他院で肺血栓塞栓症と診断され、救急搬送された。緊急造影CTでは両側肺動脈内の陰影欠損像、血流途絶像、azygos continuation of IVC(下大静脈)、多脾症候群が認められた。しかし、多脾症候群に合併しやすい所見は認められなかった。その後、経皮的心肺補助装置を装着し、緊急に血栓除去術が施行され、術後2日目に人工呼吸器から離脱できたが、第7病日目、突然の発熱、顔面・腹部・四肢末端にチアノーゼと紫斑が認められ、意識レベルも低下した。血液検査では播種性血管内凝固症候群徴候がみられ、敗血症性ショックと考えて加療が行なわれたが、第8病日目にはエンドトキシンショックが出現し、エンドトキシン吸着が行なわれた。その結果、加療により全身状態の改善が得られた。尚、後日、行なわれた血液培養ではGram陰性桿菌が検出され、末梢血液塗抹標本でHowell-Jolly小体が認められた。多脾症候群は高頻度にazygos continuation of IVCを合併するが、急性肺血栓症を起こした症例はほとんど報告されていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009