発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013316879
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57歳女性。下部食道憩室に対して胸腔鏡下憩室切除術を施行した13日目に突然の腹痛と腰痛を自覚、救急車で搬送された。意識は清明であったが、血圧60/35mmHg、脈拍90回/分・整のショック状態で、胸部単純CTにて心嚢液貯留が認められた。そこで、経皮的カテーテルによる心嚢ドレナージを行い、約400mlの血液を排液したところ、一時的に血圧は回復した。しかし、再び血圧低下を来し、意識レベルが低下し始めたため、緊急開胸手術が行われた。手術は心嚢内後面からの出血が持続するため、上行大動脈送血、右房脱血で体外循環を開始した。心臓後面を観察すると、左冠状動脈回旋枝から噴出する出血がみられ、これを縫合止血したが、出血点に対応する心嚢内に針状の突出物があり、よく観察すると縫合糸の断端であった。糸は約8mm長で、2週間前に食道外膜筋層縫合に使用したモノフィラメント糸の断端であった。尚、術後の経過は順調で、患者は約2週間で退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2013