発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009042214
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60歳女。血痰を主訴とした。胸部X線で右上肺野に辺縁不整な浸潤影を認め、CTでは右肺上葉S2に23×13mmの結節を認め、胸膜陥入像および周囲のスリガラス影を伴っていた。下葉への浸潤や播種の所見はなく、縦隔条件では結節内部に血管集束像を疑う所見を認めた。18FDG-PETでは右肺上葉S2にSUV max 6.06の高集積を認めた。気管支鏡所見で気管支内腔に異常はなく、擦過細胞診および洗浄細胞診も陰性であったが、肺癌の可能性を否定できず、開胸術を施行した。腫瘍は周囲との癒着があり、穿刺吸引細胞診で悪性細胞は認めなかったが、肺癌完全否定には至らず、右肺上葉切除を行った。摘出標本で腫瘍内に1cmの針状の硬い異物を認め、硝子質化された骨様物質であり、魚骨と考えられた。病理所見で腫瘤は多数のリンパ濾胞と不規則な血管増生、線維化を伴った慢性炎症を背景とする肉芽組織であり、悪性所見は認めなかった。術後は問題なく、術後8日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008