発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008236397
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当科にて初期保存的降圧療法を施行した急性大動脈解離患者23例(男12例・女11例・平均64歳)を対象に、発症48時間以内にsivelestat sodium hydrateを使用した11例(A群)と非使用の12例(B群)で経過を比較した。DeBakey分類はI型15例、IIIa型2例、IIIb型6例であった。保存療法中に肺酸素化能の増悪により気管挿管を要したのはA群0例、B群5例で有意差を認めた。発症から気管挿管までは平均39時間、挿管時間は140時間で、全例人工呼吸器から離脱でき、気管切開を行った例はなかった。最大WBC数、最大CRP数、最低PaO2/FiO2値は両群間で有意差はなかった。CTで心嚢液の貯留を11例に、軽度の胸水貯留を13例に、中等量以上の胸水貯留を6例に認め、1例に胸水穿刺を施行した。ICU滞在日数はA群2.3日、B群4.7日、入院日数はそれぞれ28日、30日で有意差はなかった。Sivelestat投与は、重篤な呼吸不全を回避できる可能性が示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2008