発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008208417
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1986~2005年の20年間に当院で手術を施行した手術時年齢80歳以上の原発性肺癌患者74例を対象に、性差による予後について検討した。対象の内訳は、男56例(80~85歳)、女18例(80~84歳)であった。1996年を境に前後10年間をそれぞれ前期、後期と分けると、前期19例(男14例、女5例)、後期は55例(男42例、女13例)であった。術後予後に影響を及ぼす術前併存疾患は男22例、女5例にみられた。術式では片肺全摘例はなく、肺葉切除は男35例、女15例で、肺部分切除は男20例、女3例に施行した。術後病理組織型では、腺癌は男29例、女17例で扁平上皮癌は男23例、女1例で、小細胞癌+扁平上皮癌3例と大細胞癌1例が男にみられた。術後病理分類では、StageIAは男35例、女9例とStageIBは男9例、女7例で、両方で男79%、女89%を占めた。術後合併症は男11例、女1例に認め、術後早期死亡における手術関連死亡は男2例、他病死は男3例、女1例あり、肺癌再発死亡は男1例であった。術後長期予後と累積生存率で比較すると3年生存率は男52%、女70%、5年生存率は男23%、女58%、10年生存率は男0%、女58%であった。5年生存率を性別、術式別に比較すると女・肺葉切除後が70%と最も良く、次いで男・部分切除後が58%であった。最も悪かったのは男・肺葉切除後で10%であった。以上より超高齢者の男性に対する肺葉切除の適応は厳格にすべきと考えられた。
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