発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008208419
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68歳女。約6ヵ月前より動悸、労作時息切れが出現し、当院循環器科にて大動脈弁閉鎖不全(AR)と診断され、手術目的で当科紹介となった。心エコーにてAR4度を認め、大動脈弁置換術を施行した。大動脈遮断時間は101分で体外循環離脱時の血行動態は安定していたが、低酸素血症を呈し、体外循環の離脱が困難であった。気管内吸引で大量出血1350mlを認めたが、出血部位の同定が困難であった。一時体外循環を離脱し、protamineでヘパリンを中和したが、酸素化が十分でないため再度全身ヘパリン化し、経皮的心肺補助装置(PCPS)を装着した。右気管支動脈造影にて右中葉領域にびまん性出血を認め、金属コイル塞栓術を施行して出血は軽減したが、酸素化能は改善せずPCPSを継続した。術後5日目にPCPSを離脱し、8日目頃からの急性腎不全に持続的血液浄化法(CHDF)、ビリルビン吸着療法を施行し、経管栄養開始を経て99日目に独歩退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008