発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008146455
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症例1:81歳女性。16年前に完全房室ブロックに対してペースメーカー(DDD)植込み術を行い、9年後にペースメーカーのポケット感染を生じた。対側より新規ペースメーカー植込みを施行したが、旧リード感染を繰り返し、姑息的手術では治癒に至らず、人工心肺を用い、心拍動下に全システムを摘出した。症例2:88歳女性。9ヵ月前に完全房室ブロックに対してDDD植込み術を行い、2ヵ月後にペースメーカーのポケット感染を生じた。対側より新規ペースメーカー植込みを施行したが、ポケット感染部は治癒しなかった。高度の認知症があり全身状態が不良であったため、リードの短切と感染部のデブリドマンのみを行った。症例3:82歳男性。14ヵ月前に洞不全症候群に対してペースメーカー(AAI)植込み術を行い、2ヵ月後にペースメーカーのポケット感染を生じた。ペースメーカー本体のみ摘出された。リードの短切と感染部のデブリドマンを行ったが、感染の再燃を認め、人工心肺を用いて、心停止下に全システムを摘出した。いずれも術後経過は良好であった。ペースメーカ感染では、超高齢者においても全身状態が良好であれば全システムの摘出が原則であり、人工心肺を用いることにより安全な手術が可能である。一方、高度の認知症を有する全身衰弱の強い超高齢者においては、姑息的手術も一つの手段である。
©Nankodo Co., Ltd., 2008