特集 植込みデバイスによる不整脈・心不全の診断・治療はどう変貌したか-現状と将来の展望-
治す リードレスペースメーカ
副島 京子
1
1杏林大学 医学部循環器内科
キーワード:
術後合併症
,
人工ペースメーカー
,
臨床試験
Keyword:
Clinical Trials as Topic
,
Pacemaker, Artificial
,
Postoperative Complications
pp.199-204
発行日 2017年2月9日
Published Date 2017/2/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017130947
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ペースメーカが発明されて60年近くの年月が経った。その間,ペースメーカは 次第に小型化され,電池寿命の長期化,dual chamberの開発,レートレスポン ス,MRI対応,遠隔モニタリングなどが可能になり,すでに成熟期に入った感が あった。しかし,リードと本体,という構造に変化はなかった。リードには断線, 皮膜損傷などのリスクがあり,植込み側の静脈閉塞をきたすことがあるため, リードを追加する際,反対側からの植込みが必要になる。感染や静脈閉塞などに より,リード抜去を選択することも少なくない。リード抜去には右室や上大静脈 の穿孔などの危険なリスクが伴う。また,デバイス感染の多くは皮下ポケット感 染から生じることが知られている。これらの問題を解決すべく,リードレスペー スメーカの発想は1970年ごろからあったが,2012年に初めて人に植込まれ た。ペースメーカ本体が心内に植込まれるため,リードや皮下ポケットに関連す る多くの合併症が解消される。現在,Medtronic社,St. Jude Medical社のリー ドレスペースメーカがアメリカおよび/またはヨーロッパでは承認されている (M i c r aT Mはヨーロッパ,アメリカではI D E[i n v e s t i g a t i o n a l d e v i c e exemption]試験による承認,NanostimTMはヨーロッパのみ承認)。わが国で も早期に承認が望まれる。
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