発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008146454
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63歳男性。検診で右下肺野の異常陰影を認め、原発性肺腺癌(cT2N0M0、c-stage IB)と診断された。単純X線で同部に境界不明瞭な結節影を認め、またFallot四徴症の既往があり、右大動脈弓が認められた。造影CTでは右肺S6に胸膜陥入を伴う腫瘤像を認め、有意なリンパ節腫大はなく、胸部下行大動脈は縦隔右側に存在していた。胸部3D-CT angiographyを作成したところ、縦隔・血管解剖を把握でき、肺動静脈の異常走行がないこと、retroesophageal left subclavian arteryなどの血管走行異常がないこと、通常の左大動脈弓と比べ大動脈-肺動脈窓が広いことなどが分かった。通常の術式で右下葉切除術と縦隔リンパ節郭清術を施行、第1群リンパ節および#7、#4リンパ節に術中迅速病理で転移を認めず、術前CTおよび術中所見から転移を疑わせるリンパ節腫大がなかったため、大動脈弓の脱転による上縦隔リンパ節郭清は省略した。術後は良好に経過し、術後14日目に軽快退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008