発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006210160
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47歳男.止血困難のな大量喀血が出現した.胸部CTで右S1aに1cm大の胸膜嵌入を伴う小結節影と,右肺全体に散在するすりガラス状結節影を認めた.喀血と共に呼吸困難が増強した,気管内挿管を行い人工呼吸器を装着した.挿管後の気管支鏡では出血部位を確認できず,止血処置を行うも効果なく,gelatinによる気管支動脈塞栓術で呼吸状態は改善した.気管支動脈造影で右気管支動脈中枢側の拡張と右上葉全体への血管増生を認め,出血源は右上葉と判断した.全身状態は安定していたが,再喀血への懸念と小結節影の診断・治療のため開胸術を施行した.胸腔内には胸水を認めず,右S3bに線状の癒着があった.小結節は原発性肺癌であればsT1N0M0,IA期と考え,上葉切除術を施行した.術中迅速病理で肺腺癌と診断され,縦隔リンパ節郭清を追加した.摘出標本の病理所見は立方状の異型細胞が腺房となり増殖する部分と,大小の細胞巣を形成する部位を認め,中分化型腺癌と診断した.術後1年3ヵ月経過し再発はない
©Nankodo Co., Ltd., 2006