発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005223323
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
術後早期の肺機能を肺拡散能(DLco)も含め,区域切除施行症例10例と肺葉切除施行症例33例とで比較検討した.1)術後2週にVC,FEV 1.0,DLcoの低下率を分析した結果,どの低下率も区域切除群の方が肺葉切除群よりも有意に小さく,術後早期における区域切除の肺機能温存効果を肯定した.2)肺切除術早期には,術側残存肺は高肺気量位の状態となり,毛細血管が伸展・狭小化するため血管抵抗が増加し,そのため術側残存肺の血流は大きく低下するとされ,このため術側肺機能は予想以上に低下したと考えられた.本検討でも術後肺気量の実測値は切除肺容量から求めた予測値よりも低値であった.3)術後予測値に対する実測値の割合には術式間で差は認められず,このことは血流の低下の程度が術式間で差がないことを意味している.よって,術後肺機能の低下率の差は,主に切除され減少した肺容量の差によって生じたと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2005