発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007228164
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36歳女性。嗄声を主訴とした。頸胸部CT所見にて、頭側は甲状腺左様下縁、尾側は左総頸動脈根部近傍までの左傍気管に3.0×2.0cm大の腫瘤を認めた。嗄声は腫瘍による左反回神経への圧迫によって生じていると考え、頸部襟状切開にて手術を施行した。術中所見にて腫瘍の尾側は左反回神経に連続していたが、頭側には連続する策状物を見出せず、これより嗄声は反回神経自体の腫瘍変性によって生じていると判断し、腫瘍尾側の反回神経の一部を含めて腫瘍を摘出した。病理組織所見にて胞体内に好酸性微細顆粒を豊富に有する多角形細胞が充実性・シート状に増殖しており、免疫組織化学染色にてS-100蛋白陽性、デスミン陰性、ケラチン陰性で、反回神経由来の顆粒細胞腫(GCT)と診断した。術後8ヵ月経過現在、嗄声は変わらず認められるが、腫瘍の再発徴候はない。後縦隔以外で、かつ交感神経以外から発生した縦隔内顆粒細胞腫として極めて稀な症例である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007