発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007100275
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28歳女。統合失調症、胸痛にて受診した自殺企図による9本の伏針を胸骨正中切開により心嚢内およびその周辺皮下の7本、胸腔鏡補助下に肺内の1本その他1本を摘出した。胸部X線所見は正面増で正中の心陰影に重なって7本の針上陰影を認めた。CT所見では心窩部付近の陰影の一つは心嚢内にあり胸壁から離れていると思われた。また、1本は心臓に一部刺入されていると考えた。上肺野前胸部から刺入されたものは肺内にあると思われた。本人からの問診内容とX線上の特徴から伏針と考えられた。X線モニターで異物の位置を確認し剣上突起の上下に約7cmの皮膚切開を加え皮下の4本を摘出し、胸骨下部正中を5cm切開し心嚢を開き心嚢内足部にあった異物を除去した。斜めに刺入された1本は心臓下部に接線方向で刺入されており、抜去した際少量の出血カがありコラーゲン使用吸収性局所止血剤を塗布し止血した。さらに鎖骨上窩の異物を摘出2週間後、左肺内の異物摘出を行い第5肋間腋窩に胸腔鏡を挿入した。前胸部第3肋間で皮膚切開し触診で異物を確認し鉗子で抜去した。摘出した異物は全て縫い針と思われた。術前予想した本数が一致し、術中摘出後の術中透視でも残存伏針は見られなかった。
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