発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007100276
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心臓手術の質について問われ、社会的問題となった事件についてその後の調査報告である。産業医科大学第2外科心臓手術実態調査委員会報告、東京女子医科大学医療安全管理外部評価中間報告、人工心肺案全マニュアル作成に関する研究報告書、3学会合同陰圧吸引脱血体外循環検討委員会報告書、東京医科大学病院心臓手術調査委員会報告書に基づき記述した。産業医科大学病院心臓手術事件は担当医師の手術執刀中止を求める上申書が病院手術部および中央材料部から病院長宛に提出され、さらにメディアへの投書が発端であった。病院長は実態調査委員会を発足させ、同時に部長に心臓手術の中止を通知した。その後、無関係な部署から委員を追加し資料の検討を行い日本心臓血管外科学会に調査を依頼した。評価を受けて結論は心臓手術の再開は不適切と判断した。ミスによる事故は隠蔽することなく常に患者、家族、遺族に誠実に関係機関への届出を第一に対応しなければならない。東京女子医科大学心臓手術事件では診療記録の改ざんが明らかになり、医師2名が業務上過失致死および証拠隠滅の嫌疑で逮捕の事態に至った。再発防止策の検証目的で第三者のみの構成委員会を設置した。東京医科大学病院心臓手術事件は心臓弁手術を受けた患者4名が死亡し、3遺族が医療過誤を疑い証拠保全手続きを取ったことが報道された。同一医師の担当で、医療ミスでなく手術後合併症の範囲内と認識し病院安全管理委員会へ届けなかった。当該事例について中立かつ客観的な評価、検証を行う調査委員会を設置した。第三者調査機関である病院医療機能評価機構によって調査がなされた。
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