発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007100274
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91歳女。胸部不快感、呼吸困難が出現し受診した。心電図および心エコーにて急性心筋梗塞に伴う僧帽弁閉鎖不全と診断され、救急外来へ搬送された。心胸郭比(CTR)63%で著明な肺うっ血像を呈していた。心電図はI、aVL誘導でのST上昇及びII、III、aVF誘導でのST低下を認めた。心エコーは僧帽弁前外側乳頭筋の完全断裂と高度の僧帽弁閉鎖不全を認めた。救急外来で気管内挿管を行い、カテコラミンを開始したが心停止となり、マッサージを開始したが家族の強い要望で来院2時間後に手術を開始した。心血管造影検査5分後で大動脈内バルーンパンピング(IABP)、20分でPCPSを装置し呼吸補助を開始した。冠動脈造影(CAG)では第1対角枝起始部の閉塞を認めたが他部位に有意な狭窄は認めなかった。術中経食道心エコーおよび肉眼所見で前外側乳頭筋の完全断裂を認めた。僧帽弁前尖を切除し、Carpentier-Edwardウシ心膜弁27mmを用いて僧帽弁置換を施行した。術後経過3日に覚醒し、術後11日目に人工呼吸器およびカテコラミンから離脱した。糖尿病コントロール、褥創処置など高齢者のため長期リハビリテーションを要し、術後134日に独歩で退院した。
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