発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009305758
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小児診療において心雑音は日常茶飯事である。ときに心疾患発見の契機となるが、大部分は無害性で、その特徴を理解すれば精査紹介を節減できる。小児でも胸痛、失神はまれではない。特発性/心因性胸痛、自律神経性失神が大多数を占めるが、心疾患の除外は必須である。脈拍の性状とリズムの異常は、小児でも有用な情報となる場合がある。近年小児においても高血圧は増加傾向にある。大部分は軽症ないし正常高値血圧であるが、明らかな高血圧はまず二次性高血圧除外が原則である。発熱の陰に心疾患あり、川崎病は小児後天性心疾患の首位を占め、診断の遅滞は心後遺症のリスクを増す。また急性心筋炎は、小児診療における地雷疾患の一つである。心内膜炎、血管炎も診断困難な重症疾患である。小児の心疾患はNICUで診断ずみの先天性心疾患(CHD)だけではない。外来やERでも、診断の遅れが危急的事態を招く疾患に遭遇するリスクは常にある。筆者が経験したクリティカルケースを提示し、読者の危機管理に供したい。
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