発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007100270
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30歳女。夜間呼吸困難を自覚し近医に利尿薬を投与され当院へ入院した。NYHA(New York Heart Association)分類I度で入院時、心尖部に収縮期心雑音(Levine IV/VI度)を聴取した。心電図所見は洞調律であった。胸部X線所見は心胸隔比(CTR)50%であった。心エコー所見は広範囲前尖(A1、2)逸脱により後方に偏位する高度僧帽弁逆流(IV度)を認め、軽度貧血(Hb11.3g)を認めた。本人の希望を容れ、外来における術前自己血貯血、右乳房下皮膚切開右開胸による僧帽弁形成術を施行した。僧帽弁前尖は広範囲に逸脱しA1に腱索断裂、A2に腱索延長による逸脱を認め、また後尖PM1に裂隙を認めた。ポリテトラフルオロエチレン糸CV5を用いて前乳頭筋に1対、後乳頭筋に2対の人工腱索再建を行い、後尖裂隙を縫合し、25mmによる僧帽弁輪形成を行い、僧帽弁形成を終了した。術後経過は心エコーで僧帽弁逆流の消失を確認し、術後8日に退院した。術後2年3ヵ月現在、無投薬で経過観察中であるが、遠隔期心エコー上、僧帽弁逆流の再発はない。
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