発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009346695
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
78歳女性。患者は右側胸部腫瘤を主訴とした。既往歴として慢性腎不全のためCAPD中、また肝細胞癌に対し数回にわたり経皮的エタノール注入療法が施行されていた。受診時、胸部CTにて右側胸壁に最大径65mmの内部不均一な腫瘤が認められ、針生検の結果、肝細胞癌穿刺部再発と診断され、腫瘍および胸壁横隔膜の合併切除が行われ、病理組織学的に肝細胞癌胸壁再発であった。以後、手術から第7病日目よりCAPDを再開したが、第12病日目より呼吸困難が出現、第13病日目の胸部単純X線では著明な胸水貯留が認められ、胸腔穿刺で排液がみられた。横隔膜の縫合不全による横隔膜交通症を疑い、保存的治療を行ったところ、一時的な効果がみられたが、CADP再開後に再び呼吸困難、右胸水貯留が出現し、第40病日目に再手術が行われた。その結果、再手術所見では横隔膜に1cm大の欠損孔が認められ、この欠損孔を縫合閉鎖後、吸収性ポリグリコール酸シート、フィブリン糊で補強し、OK-432による胸膜癒着術を追加した。そして、再手術から第7病日目にCAPDを再開したが、現在まで問題なくCAPD継続中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2009