胸部・気道損傷の治療
多発肋骨骨折 多発肋骨骨折および動揺胸郭に対する手術
岩崎 安博
1
,
川崎 貞男
,
篠崎 正博
,
吉増 達也
,
岡村 吉隆
1和歌山県立医科大学 救急集中治療部
キーワード:
フレイルチェスト
,
交通事故
,
内固定法
,
骨ネイル
,
骨板
,
人工呼吸
,
肋骨骨折
,
重症度指標
,
マルチスライスCT
,
骨折-多発性
Keyword:
Accidents, Traffic
,
Fractures, Multiple
,
Bone Nails
,
Bone Plates
,
Flail Chest
,
Fracture Fixation, Internal
,
Respiration, Artificial
,
Rib Fractures
,
Severity of Illness Index
,
Multidetector Computed Tomography
pp.980-984
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007020963
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2001年11月から2005年12月に人工呼吸器早期離脱を目的に観血的整復固定術を行った多発肋骨骨折14例を対象に、全例胸郭が高度に変形し呼吸様式不良で早期の人工呼吸器離脱が困難と考えられた。内訳は、男性11例、女性3例で、平均60.4歳であった。骨折数は全例が5本以上で、7例では両側骨折を認めた。10例に動揺胸郭を認めた。交通外傷が8例で最も多く、外傷重症度はinjury severity scoreは平均30と重症例が多かった。固定器具は吸収性肋骨ピン、チタンプレート、肋骨用リブステープラーを用いた。プレート装着部位の肋骨のみを露出し、骨膜の剥離は必要なく、小切開を行い、胸腔から陥没変形を用指的に整復する。プレートを整復した胸壁の形状に合わせて形成する。肋骨前面にプレートをあて、肋骨に手術用ドリルで穴を開け、スクリューで肋骨とプレートを固定する。4例は肋骨ピンを用いたが、手技が煩雑なため他の症例はチタンプレートを主に用い、2例でリブステーラーを主に用い、2例でリブステープラーを併用した。人工呼吸器装着日数は平均5.3日(1~25日)であり、外傷性大動脈損傷手術後9日で観血的整復固定を行いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌肺炎を合併した1例を除き、術後7日以内(平均3.8日)に人工呼吸器から離脱でき、良好な結果が得られた。チタンプレートとリブステープラーを用いた症例では人工呼吸器装着期間がより短い傾向にあった。全例が生存退院又は転院でき、死亡例はなかった。典型症例を1例提示したが、術後7日で人工呼吸器から離脱し、入院後61日に退院となった。
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