胸部・気道損傷の治療
多発肋骨骨折 動揺胸郭を伴う多発肋骨骨折に対する肋骨固定術
懸川 誠一
1
,
上吉原 光宏
,
大滝 章男
,
大木 茂
,
森下 靖雄
1前橋赤十字病院 呼吸器外科
キーワード:
フレイルチェスト
,
交通事故
,
内固定法
,
人工呼吸
,
転倒・転落
,
肋骨骨折
,
選択的手術
,
緊急手術
,
骨折-多発性
Keyword:
Accidental Falls
,
Accidents, Traffic
,
Fractures, Multiple
,
Flail Chest
,
Fracture Fixation, Internal
,
Respiration, Artificial
,
Rib Fractures
,
Elective Surgical Procedures
pp.974-979
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007020962
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1998年4月から2005年12月に経験した多発肋骨骨折に対して観血的固定術を行った28例のうち、術前に動揺胸郭を有した20例(男14例、女6例、32~93歳、平均66歳)を対象にその治療成績を検討した。受傷機転は交通外傷13例、転落3例、その他4例であった。骨折部位は右側7例、左側8例、両側5例、骨折数は3~14(平均6.6)本で、骨折型はantero-lateral typeが17例、both-anterior typeが3例であった。合併した胸部損傷として、全例に肺挫傷と血胸があり、外傷性気胸が8例、鎖骨骨折1例、切除を要する肺損傷が2例、右房破裂1例、奇静脈損傷1例、肩甲骨骨折1例がみられた。14例に多臓器合併損傷があり、頭部外傷8例、四肢骨折8例、腹腔内臓器損傷4例、骨盤骨折3例、胸腰椎圧迫骨折1例を認めた。緊急手術を4例、待期手術を16例に行った。待期例での平均術前期間は10日(4~20日)であり、術前に人工呼吸器による内固定を16例、二相性陽圧呼吸マスクによる内固定を1例、バストバンドによる3例に行った。平均手術時間は3時間1分、出血量は平均623ml、固定数は1~9ヶ所(平均3.5ヶ所)であった。術後の人工呼吸管理は17例に行い、その平均期間は11日であったが、8例では意識障害、肺炎、その他の理由で6日間以上の人工呼吸管理を要したが、これらの症例では他の症例よりも有意に手術時間が長く、injury severity scoreが有意に高かった。
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